朝の4時に目が覚めた。
丁度、空が白んでくる頃合いだ。
早く起き過ぎてしまった事を悔やみながら歯を磨いていると妙案が浮かんだ。
そうだ、早朝ポタリングに出かけよう。

最初の台風が過ぎ、8月が近づくにつれ白昼は地獄の熱さになってきた。
この季節は早起きして涼しいうちに走りに行くに限る。
本日のターゲットは二見の人工島である。

人工島は明石市二見町の沖に作られた名前通りの人工島で、工場ひしめく工業団地となっている。
正式名称は東新島というらしい。
すぐ西側には播磨町新島というこれまた人工島がある。

まずは二見橋を渡って東新島へ。
工業団地という事で、通勤時間帯以外は元々頻繁に車が通る場所ではないが、早朝だと車の姿がまるでない。
気持ちよく車道をかっとばす事が出来る。

こんな感じの2~3kmは続こうかという真っ直ぐな道路を独占状態である。
こいつは気分が良い。
早起きは三文の得というが、もう少し払っても良いくらいだ。

埠頭に近づくにつれ、路上駐車が増えてきた。
工場への搬入などを行うトラックが停まっているのは分かるのだが、どれも自家用車である。
それも道路の両端を埋め尽くさんばかりの勢いだ。
こんな時間になぜ?
突き辺りまで自転車を走らせ、海を臨むと疑問は氷解した。

埠頭は釣り人でいっぱいだった。
路上駐車は彼らの乗ってきた車だったのだ。
人工島は有名な釣りスポットの一つとなっているらしい。
まだ周りは薄暗いが、彼らにとっては最高の時間帯だ。
ちなみに、私は釣りがヘタクソである。
まともな釣果があった例がない。
待つ事が出来ない性格が原因だろう。

東新島には、明石海浜公園がある。
案内板によると3kmほどのマラソンコースがあるようなので、自転車で走ってみる事にした。

公園内の路面は土がむき出しでタイルやアスファルトによる舗装は行われていない。
雨が降った後に走ると泥んこになりそうだ。
わりとでこぼこなので、細いタイヤだと走りにくいのではないだろうか。
しばらく走るとゆるい上り坂になる。

折り返し地点は小高い展望台になっていて、漁港などを見渡す事が出来た。
周囲に植えられた樹が邪魔をして、あまり見晴らしが良くないのが残念だ。

朝日が高くなり、だんだん周囲も明るくなってくる。
次は播磨町の新島の方へ行ってみよう。

播磨町新島へ渡る橋の上から西側を見ると、加古川市金沢町の工業団地が見える。
あそこは、化学工場と製鉄所がみっしり詰まった工業地帯だ。
鉄のタンクに鉄のパイプが絡みつくいかにもな工業設備の姿は、特定の機能に特化されているにも関わらず、研ぎ澄まされた機能美はそこにはない。
だが、グロテスクな魅力がある。
あれは鋼鉄のハラワタだ。
鉄の内臓へ鉄の血管が化学薬品やオイルの体液を流し込み、送り出す。
夜の暗がりの中、煙突から吹き出す炎に照らされる製鉄工場や化学工場には、奇妙な美しさを感じる。

そんな事を思いながら、通勤カーの増えてきた新島の道路を自転車で走っていると、もっと怪しい物を見つけた。

あ、あれ?
なんかあのクレーン、遠近感おかしくないか?
気になって巨大クレーンへ向かって自転車を走らせるのだが、走れども走れども一向に近づかない。
でかい。
トンでもなくでかいぞ、これは。

ただのクレーンではなかった!
船である。
起重機船というタイプの船だ。
調べてみると、寄神建設が所有する日本最大の起重機船の一つで、明石海峡大橋の橋げたなどを持ち上げたりしたのもこのクラスらしい。
まさか、人工島に寄港していようとは!

長 さ:120m
船体幅:44m
深 さ:7m
喫 水:5.7m(最大荷重時平均)
定格能力:4,000トン
巻上高さ:125m(前フック水面上)

クレーン部を見るには、首が痛くなるくらい見上げないとならない。
全長120メートルの船体と比しても歪に感じるほどの巨大さだ。
油圧駆動のウィンチは4000トンもの重さを持ち上げる事が可能らしい。
国内最大級なだけでなく、世界でもトップクラスの大型起重機船なのだそうだ。
ううむ、ふと思いつきで来た人工島だったが良いものが見られた。

人工島は、工業団地なので車が少なく走りやすいが、外周をぐるっと回る道路が存在しておらずあちこちで行き止まりに突き当たる。
スピードを出して走り回るには向かない場所かもしれない。
工場設備などに興味のない人であれば、景色にもそれほど見所は無い。
が、自転車と共に釣りを趣味にする人であれば、来ない選択肢は無いだろう。
もっとも、そういう人には今更な話だろうけども。


About the author

自転車を始めてからすっかりポタリング中毒になり、最近はブルベにまで手を出すように・・・。Kitaguchi

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。