出張でカンボジアの首都、プノンペンにやってきた。
ゴチャっとしてて騒々しい、アジアらしい街である。
実は私、2年ほど前には仕事でこの街に住んでいたのだ。
日本に帰ってきてからも度々こうして足を運んで居る。
今回の仕事はすぐに終わったのだが、役所が書類を仕上げるまで数日間ヒマな時間が出来た。
うーむ、ずっとホテルで引き篭もるのも不健康かつ非生産的だし、どうしたものか・・・。
日本にいれば空いた時間は、自転車にでも乗っていたい所なのだが。
・・・ん? 待てよ?
何も日本でなければ自転車に乗れないなんて事はないじゃないか。
カンボジアで自転車に乗れば良いのだ!!

というワケでやってきたのは、プノンペンの目抜き通り、モニボン・ストリート中心部から西に200mの地点にある自転車マーケットだ。
ここには、プノンペン中の自転車屋さんが集まっている。
プノンペンでは、こんな感じで単車なら単車、耕運機なら耕運機と言ったように同種の店舗が同じ場所に固まってマーケットを形成している事が多い。
さて、どんな自転車を購入しようか。

子供用自転車がやたらと沢山おいてある。
カンボジアは子供の出生率が滅法高く、この国の人口のほとんどは30代以下なのだ。
それより上の世代は、ポル・ポト政権の時代に殺されてしまったからだ。
さらに、ついこの間までカンボジアでは原付やバイクに乗るのに免許が必要なかった。
故に大人は皆HONDAのスーパーカブに乗り、自転車屋のラインナップの半数が子供用自転車になったのだろう。
残りの半分の中に良さげなブツは無いか物色してみる事にする。

おや、このママチャリに貼りつけられているのは大阪府警の防犯登録シールだ。
私も同じ関西出身、このような地で同郷の者に出会えるとは!
関西弁で話しかけたら返事をしてくれるかもしれん。
もうかりまっかー?
「・・・・・・」
どうやらシャイなヤツらしい。
お値段を聞くと45ドルとの事。
他のも一応見てみたが、どれも40~60ドルの間だった。
よーし、こいつに決めた!

ふむ、なかなか良さげに見えるじゃないか。
名前をつけてやろう。
今日からお前はジャヤヴァルマン号だ!!
ジャヤヴァルマンは、アンコール朝を開いたカンボジアの昔の王様の名前だ。
正確には違うが、アンコール・ワットを作った人だと思っておけば大体合っている。

ちなみに、ここで売っている自転車は全て中古品だった。
ほとんどが、日本から運ばれてきた物のようである。
恐らくだが、駅の処分される放置自転車をこちらに持ってきてリサイクルしているのだろう。

早速ジャヤヴァルマン号に跨り、ホテルに帰還する事にする。
そしてペダルを踏んだ瞬間、私は気付いたのだ。

こいつ、ものすごくポンコツだ。

ペダルを踏むたびにグキグキ音がする。
チェーンからジャリジャリ音。
ブレーキがちょー効かない。
ちょー怖い。
そしてママチャリなので重い。
たぶん20kgくらいある。

うおお、なんじゃこりゃあああ。
初めてクロスに乗った時と逆の感動を味わう事になるとは。
この半年で自転車というのは軽快なものだという考えが染み付いていたが、これこそが古びたママチャリの感触なのだ。
それでも歩くよりはずっと速いし楽だ。
・・・しかし、まさかアワイチやビワイチに挑戦する前に海外遠征を実行する事になろうとはね。
海外なんて、日本に走る場所の無くなった熟練自転車ツーリストのフロンティアだと思っていた。
と言ってもこのポンコツと私の脚では出来るのは精々ポタリング程度。
ヒマな時間、こいつでプノンペンをブラブラしてみるとしよう。


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自転車を始めてからすっかりポタリング中毒になり、最近はブルベにまで手を出すように・・・。Kitaguchi

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